行きつ戻りつ

走ったり、投げたり、時に釣ったり、何か作ったり、生きてりゃ行き当るとりとめなき事を

わしらは、走るために生まれたのかどうか。

BORN TO RUNを読んでいる。
数年前まで、夏になると身長が伸びる気がする!などとほざいていたのだが、走りながら同じことを言う気にはならない。さすがにもうなりませんね。だから新しい靴でも買ってそれがやる気に変わらんかな、と思ってターサジールを買ったけど、やっぱり暑くて走るのが辛いことにかわりはない。

そこで、こういう季節はたぶん持久力より短時間でスピードアップに取り組むのが正解なのだと思い、インターバルトレーニングなんてのを初めてやってみた。あの角まで全力とか、あそこに見えるどん詰まりまで全力で、と走ってみたら、暑いかどうか以前に苦しくて死んでしまうかと思った。50も半ばでこんなことをしていたら、本当にぽっくりいってしまうかもしれない。それでも瞬間最高速はやっとのことで18km/hだ。トップランナーがフルマラソンを走りきる平均時速にさえまるで及ばない。いったいどれだけ鍛え上げたらそんなことになるのだろう。おそろしい連中だなまったく。

それでもひと月、ふた月と苦しさに耐えてこんなトレーニングを重ねるうちに、あ、なんだかおれ、死なないかもしれない、という程度に苦しくなくなるんだろうか。そのくらいやれば、おれもサブスリーとかに肉薄できるのか。

 

こういう時は、その気にさせる本を読むに限る、と、選んだのがこれだ。まんまスプリングスティーンじゃねぇかと思ったが、それでも走ることについての本にこれだけ開き直ったタイトルをつけられたら、読んでみようかという気にもなる。

 

ところがノンフィクションのはずなのに、いきなり伝説の男?を人跡未踏の地に命がけで探しに出かけるわ、出てくる連中もいちいちエキセントリックで規格外れだわ、途中からナイキを罵倒し始めて、ベアフット布教本めいてくるわ。このテのはエンターテインメントとして話半分に読んどいた方がいいかもな、などと思いつつ何しろ語り口に熱量があるし、どうやら愛もあるので引き込まれる。ハッタリでもいいぜ読むぜ、と思わせる力がある。

そんなわけで早速チアシード(何年か前に流行ったらしいが知らん)を買って、自己流イスキアテを作ってがぶ飲みして走って腹具合がおかしくなったり、革靴を5年ばかり愛用してややくたびれたNBのMT10に替えて通勤したりしている。

f:id:tomozou63:20180712001906j:plain

復刻してくれんもんかなぁ

おれの職場は、そのあたり何となくゆるいことになっているので、何履いて出勤しようと別段問題はない。そもそもこの季節にスーツに黒革靴なんていかれている。生業上の縛りから、止むを得ずそんな格好でいなければならない皆さんもまだまだ多いことだろうが、もういい加減やめりゃいいんだよこんな習俗。

 

で、話は遂に人類進化の謎に迫る。屈強なネアンデルタール人がなぜ滅びたのか、ひ弱な体躯しか持たないホモサピエンスがなぜ生き延び、生物界の頂点に君臨するに至ったのか!?それは、いかなる生き物より長く走り続けることができるカラダを手に入れたからだ!わしらは走り続けたからこそ生き延びた、走るために生まれたのが我々なのだ!というところに収斂してゆくかと思わせておいて、どんでん返しの気配が・・・。

 

ただ、もうしっかり感化されちゃって、やけにダンピングされていたので思わずカートに入れてはみたものの、どうしたもんかと半月ばかり躊躇し続けていたソールがぺらっぺらのサブスリーシューズが届くのを待っている。