壁とか限界とかいうやつについて
11.5キロを、初めて時速13キロを超えて走り切った。
5〜6キロあたりがえらくしんどくて、ペースが落ちかけたにもかかわらず、そこからまた持ち直して最後までキープすることができた。ゴール前は下り坂で勢いがつく。今日はその勢いに負けずに足の筋肉でしっかり踏ん張れている感じがあって、それは本当に久しぶりの感覚だった。
去年の今頃は、5キロを時速11キロくらいで走っていた。たった時速2キロの違いだ。
時速何キロで移動しているかを意識するのは、もっぱらバイクやクルマを運転している時だろう。そのときの時速2キロは、スロットルやアクセルのミリ単位の調整に過ぎない。いや実際には2キロの微調整は、ほとんど不可能ではないか。そのくらいのミニマムレベルだ。きっと体感などできようもない。
しかし自分の足で走ってみると、時速2キロの相当な違いに気づく。足が回転するスピードが違う。遠くに見える信号がぐいぐい近づいてくる。我ながら速くなったなぁと思うのだ。
もちろんこのレベルからもっと伸ばしたい。もっと長い距離をもっと速く走れるようになりたい。ただそのために必要なことを考えると、いささかたじろぐ。何しろこの2キロのために1200キロも走ったのだ。
時速14キロをキープできれば、フルマラソンを3時間で走りきることができる。どのくらいの強度であとどのくらい走れば、時速14キロに届くのだろう。
師匠は、“月間300キロ走ると世界が変わる”、と言った。走り始めた当初は、月間でフルマラソンの距離42.195キロを超えることを目標にしていた。それから1年が経ち、先月はそこそこ頑張って遂に200キロを超えた。
さすがに300キロはちょっと厳しいんだが、そのくらいやれば確かに違う世界が見えて来るに違いない。1.5キロを9分もかかった上にヨレヨレになっている自分に驚いてから1年あまり。たかが少しばかり走れるようになっただけだ。しかし確かに世界は変わりつつある。
どこまで行けるもんだか、もうしばらく踏ん張ってみようじゃないか、と思う。