行きつ戻りつ

走ったり、投げたり、時に釣ったり、何か作ったり、生きてりゃ行き当るとりとめなき事を

まさかのタイミング

日常的に必要な食料や生活用品以外のモノを買うのがそもそも苦手だ。買わずに済むなら、むしろその方が良い、とすら思っているフシがある。

それでもたまには欲しいものができて、ちょっと欲しいなぁ、手に入れたらどうだろうなぁ、などと思っているうちにその気持ちが膨らんで行く。そして、それは本当におれにとって必要なモノなのか?手に入れた瞬間、それは欲しいモノから、欲しかったモノに変わり、そしていつか、今はもう欲しくないモノになったりはしないのか?などとしばし煩悶した末に、結局買わないことに決めて、むしろ安堵したりする。

で、ついでに押入れや物置をひっくり返して、しばらく着ていない服や使っていないモノをガンガン捨てて、そのモノが無くなれば、それに対する執着も一緒に消えるんだなぁ、と爽快な気分になったりする。

でも、それでもやっぱり、欲しいモノはぽつりぽつりと湧いて出てくるのだ。

 

先週の土曜日、先々週10人分ぐらい作ったのに誰も食べてくれないミートソースを粛々と消化していたら、珍しいことに郵便配達がベルを鳴らした。

書留だという。いま使っているスマホの会社から、おれ宛てだ。覚えねぇなぁ〜・・・書留って何だよ?料金滞納?それは書留じゃ来ないだろ。また大方関係ないキャンペーン?と思っていたら、何か遠いところで閃いたものがある。

開封してみると、見慣れないものが出てきた。郵便為替にまんえん。

・・・・・・あ!

そういえば、GSXR1100北米仕様に乗ってるんですよ、200馬力ぐらいあるんで300キロとか出ちゃうらしくって、もう訳わかんないですよ〜、下の駐輪場に停めてあるんで、帰りに見てってくださいよ、とか言っておれを羨ましがらせたスマホショップのにいちゃんが、あの時おれに囁いたんじゃなかったか。

“ダンナ、忘れた頃に為替が届きますぜ。奥さんにはバレる気遣いなし、ってヤツですよ”

それが、別にアイフォーンが欲しくてきたわけじゃないしさぁ、しかもシャンパンゴールドなんてさぁ、こんないやらしい色なんかじゃさぁ、とイマイチ乗り切れなかったおれの背中を、ドーーーーーーーーンと押したのだ。

 

このひと月ばかり、ヤフオクやらメルカリやらを渉猟しては、てめぇが使ったもんを、新品同様の値段で売りつけようというさもしい魂胆に呆れたり、おれの使ってたもんで良かったら誰かどうぞ使ってちょうだい、値段はこんなんでいいや、って至極真っ当な申し出に対する電光石火のレスポンスに感心しつつ歯噛みしたりしていた。

そんなおれのところに、このタイミングで来てくれたというのかお前は!!!!

よぉし、ほんじゃもうおれアマゾン行っちゃう。新品買っちゃう!ついでにターサジールも買っちゃう!いやターサはちょっと待て、それは待て。

ということでスパゲッティをかっ込むと、決心が鈍らないうちに購入を確定するボタンをガツンと押した。支払いはヨメにバレんよう、もちろんコンビニ振込だ。

そして水曜日、そいつはやって来た。

 

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おう、届いたかよ。今ちょっと忙しいんで待ってな。

AM3時まで戦ったが、直感的に使えますよ〜と言われているデジタル機器をほとんどその通りに使えたことがなく、てめえらの直感とおれの直感は全然別モンだべらぼうめ!大体デジタル機器の進化ちゅうのは、聞きなれん言葉の意味を調べることや、ややこしいセッティングなんぞを無用のものにするってな方向に行かにゃならんのだ。プロトコルとかIPアドレスとか、そんなモンおれは一生知らんで通すからな、などと八つ当たり気味に啖呵を切り続けてきたおれにしては、驚異的なスピードでスマホやPCとの連動も終え、操作方法の理解やカスタマイズまでおよそ完了してしまった。

エライやっちゃなーオマエ。なんかうまくやって行けそうだよキミとは〜。

 

んで翌日、まぁ睡眠不足なんだが南風が轟々と吹き付ける夜道を10キロばかり走ってみた。

いやまぁ、なんですかこれは。

ライフログってんですか、どこをどんなスピードでどんな歩幅や心拍数で走ってどこでくじけそうになってどこでこのやろーへたばってんじゃねぇぞと持ち直したのかとか、何時に寝て寝つきが良かったのかどの辺で眠りが浅かったのか深かったのかとか、仕事中どこでおれがイラっとしたのかとか、まぁそんなことまで残してくれんでもええわい、というようなところまで逐一記録して保存し続ける。

こりゃあ、アンドロイドが(電気)羊の夢を見るのもきっとそんなに先のことじゃねぇんだなぁ、と思っちゃいましたよ。

 

まぁ、そこで気にかかるのは、去年の4月から共に走って来たCASIOのランニング用リストウォッチだ。どれだけこいつで計ったLAPを励みに己を叱咤してきたことか。いわば糟糠の妻なのだなぁこいつは。

佐倉マラソンでは、ガーミンを左腕に、CASIOを右腕に、いやそれはさすがにアレなので、ウエストポーチに入れて走ろうではないか。よし、それに決めた。