行きつ戻りつ

走ったり、投げたり、時に釣ったり、何か作ったり、生きてりゃ行き当るとりとめなき事を

東京ベイ浦安シティマラソン

1月のハイテクハーフでフルを走ってから、明らかに練習不足だった。なので、今回は無理せず穏やかに完走することを目標にしよう、などと思っていた。

ところが昨夜、タイミングよく放送されていたこんな番組を見ちゃったもんだから、やれるだけやってみようぜ、というモードに見事に切り替わって、じわ〜っとその気になっていたのだ。

いやはや、素晴らしいレッスンでした。

“君が走ることを好きなら、レースを試験だと思わないでほしい。自分を表現する喜びだと考えて、怖がる気持ちを頭から全部消すんだ”

さすが世界最強のコーチ。胸に手を当てて考えた。おれはなんだってこの歳になって走っているのか。いい大人が言い訳している場合ではない。

あの中学生たちにとって、宝物のような1週間であったことを願って止まない。

 

さて今日のレースが行われる会場は、これまでのどの大会よりも近い。電車も乗り換えなしで30分もかからない例の場所。 

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舞浜って、マイアミビーチから来てんのね……・・

ちゃんと予定通りのグリッドにスタート10分前に並んで、言っている事は穏当なんだけどアジテーションばりにテンションの高いゲストのQちゃんの挨拶を聞いてスタートした。 

今度こそ前半は抑えて余裕を残し、残り5キロを切ったらスパートしてそのままゴールするプランで行こうと決めていた。しかし周りのペースがどうも早い。10キロまでは4:45平均で行くはずが、2キロのラップは4:36、3キロは4:32だ。いかんいかんとペースを落とす。

何度もクルマで走ったことがある新浦安の市街地を走る。馴染みのあるところで行われるレースは初めてだ。それが心の余裕につながって、あまり気負わずに走れているような気がする。潤いや生活感にはいささか欠ける湾岸の埋め立て地だけれど、河川敷に比べればまだしも景色が単調じゃないのもいい。

そんな具合で順調に走っていたのだが、ディズニーシーの海側に出たあたり、14キロ地点くらいで、右足のくるぶし付近が鈍く痛み始めた。前回のフルで痛んだのも同じ箇所だ。しかし残りはあと7キロばかり。こういう時にこそ、怖がる気持ちを頭から消そうと思った。

このまま進んでも、壊れやしない。走り終われば、痛みなどどこかへ消える。

そう自分に言い聞かせて、構わず走り続ける。

最後の折り返し地点に来た。残すところあと5キロだ。ギアを上げた。17キロのラップは4:33。もっと行けると感じたので更に突っ込む。18キロは4:15。19キロは少し落ちたがそれでも4:22。足がつりそうな気配はない。不自然に抑えた走り方ではなくなったからなのか、痛みも消えた。このまま前を行く人を抜きまくりながらゴールまで行ってやれ、と思う。

その時、沿道で監視中の警察か消防のお兄さんが、陽気に呼びかけているのが聞こえた。「少し先で、Qちゃんがハイタッチをしながら待ってまーす!」

スタート前の挨拶でQちゃんは、今日の目標は皆さんの95%とハイタッチする事です!と宣言して場を沸かせていた。ミーハーな振る舞いは苦手なタイプだが、コースのど真ん中に両手を挙げて立っているQちゃんが見えた時には、もちろん迷わずハイタッチに向かった。

よっしゃ〜、ハイタッチ〜、とおれの左手とQちゃんの左手が触れようとしたその0.5秒前、右足のふくらはぎにいきなりプルプルッと来た。そこまで何の気配もなかったのに、Qちゃんの方に向かうために少し進路を変えたことで誘発されたのだろうか、測ったように本当にそのタイミングで来やがった。

しかし残りはあと2キロだ。左のふくらはぎには異常がない。ヒザより上の大きな筋肉にもまだ十分な余裕が残っている。右ふくらはぎをなるべく使わないよう、右足首とヒザをできる限り固定し、股関節から振り子のように踏み出してベタ足で走る。さっき抜いたばかりのランナーがおれを抜き返して行くが追いかけられない。20キロのラップは4:29。まだ行ける。

ところが左のふくらはぎにも同じやつが来た。やっぱり練習不足は正直だ。いまのおれの足はここまでだったのだ、と思う。しかし、まだ誤魔化せる。両のふくらはぎの様子を伺いながらギリギリのペースで進む。運動公園のゲートをくぐった。あと700m。ヒヤヒヤしながらベタ足でゴールを目指すが、そんなにペースは落ちていないはずだ。陸上競技場に入った。あと300m。ふくらはぎよ!このままおとなしくしておれ!と最後はなんとか少しだけペースを上げてフィニッシュゲートをくぐった。

タイムはネットで1:38:53。

記録更新である。やれたではないか!

 

いつものように、完走賞のTシャツやら飲み物やらをもらって、荷物を預けた体育館に向かった。入り口前の高さ40センチほどの段差に足をかけて昇ろうとした瞬間、いきなり左ふくらはぎが、バキッッとつった。

練習不足の報いがこれか〜、と段差に座り込み、必死でつま先を押さえふくらはぎを伸ばした。

まわりの人たちには、バレていなかったと思う、たぶん。

 

レースの後はもうこれに決めている。分厚いチャーシュが3枚乗った味噌ラーメンを完食した。

 今シーズンの集大成は、50日後の佐倉マラソンだ。またうまい味噌ラーメンが食べられるよう、明日からぼちぼちスタートなのだ。

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余は満足ぢゃ