練習日記190816〜SIT⑤
そうは思うものの、カラダがついて行かない。何しろもう全身の酸素が絞り尽くされるような苦しさである。
いや、その通り。ちょっと盛って書いてみたんだが、それでもあと10秒同じペースで走ったら、カラダがパンクするだろう。もっとも山で熊にでも出くわしたりしない限り、そんな命がけでは走れないだろうけれども。
6LAPを終えた後は、胃の辺りがムカついた。走ってそんな具合になるのは、ほとんど初めてのことだ。出がけに月見団子を3つばかり食べたのがいけなかったのか。
高校生の頃1500メートルを走ると、決まってアタマの血管がどくどく波打って、締め付けられるような頭痛がしたものだ。これがなけりゃもっと速く走れるんだがな。いつもそう思っていた。大人になってみたら、嬉しいことにアタマはなんともない。でも、その代わりに気持ちが悪くなるのでは、これもまた困りものだ。
最後のインターバルをよろよろと歩き、ベンチに寝転がった。台風10号が残していった風が木立をざわつかせ、草むらを渡ってゆく。3色の灯りを点滅させながら飛行機が縦横に夜空を飛び交いみるみる小さくなってゆく。食べ頃を過ぎたプラムのような満月が昇ってくる。不自然な動きで目を引く怪しい星でもないだろうかと目を凝らすと、時折コウモリが視界をよぎる。
そろそろ回復したか?と思って立ち上がったら、まだフラフラする。
超スロージョグで帰路に向かい、しばらくそんな調子で走っていたらようやく人心地ついた頃に家に着いた。