行きつ戻りつ

走ったり、投げたり、時に釣ったり、何か作ったり、生きてりゃ行き当るとりとめなき事を

復活の城ヶ島 後編

後編というのも大袈裟だが、長くなってしまったので昨日の続き。

何しろ前回も前々回も、エサ取りすら姿を見せなかったのだから、サヨリでも嬉しい。しかもこんなサイズは初めてだ。サヨリを釣るには、仕掛けを沈めず表層を引いてくるのだが、何もしなくても向こうから勝手にエサを引ったくって行く。途中からはかわそうとしたにも関わらず、結局20匹以上のプリプリのでかいサヨリを持ち帰ることになった。

さて、開始から30分あまり、足元から出るサラシの際にコマセを入れ、仕掛けを投入すると、いい具合に手前に留まって馴染んだ。じわじわとウキが引き込まれて行く。見えなくなりそうなところで聞き合わせると、竿に重みが乗った。

さっき掛けたバリの強引でストロークの長い引きとは違う。シャープでスピード感のある懐かしい手応えが伝わってくる。しばしのやり取りの後に姿を見せたのは、キープサイズの30cmギリギリのグレだった。

その後、3人で場所をローテーションしながら釣り続ける。どこに移っても表層でサヨリ、仕掛けを沈められればバリが掛かってくる。それはそれで楽しいのだが、なかなか本命までエサが届かない。

そんな時、沖目のシモリの際を流していると、ウキに小さなアタリがあった。合わせると大して引かないが、何か掛かっている。引き寄せると平べったい薄茶色の魚体が見えた。カワハギだ。サイズは25cm。これは、むしろグレより嬉しいお土産だ。釣り場で小躍りしたのは、初めて尺越えのオナガを釣った時以来じゃないだろうか。

その後、私が2枚のグレを追加したものの、TKとSKには相変わらずバリとサヨリのオンパレードが続く。二人にも本命を釣ってもらいたくて、いちばん釣れるはずの左端の釣り座でコマセを撒く役に徹して、順番にグレを狙ってもらった。しかしズドーンと竿を曲げたのは、やっぱりバリだった。バリだって旨い魚なんだけど、グレより遥かに図々しくてやたら釣れちゃってありがたみが薄いのと、何しろ毒針が怖い。

二人がグレを釣れなかったのは残念だったけれど、カワハギはもちろん大サヨリの刺身も素晴らしい御馳走で、皮を湯引きしたグレの刺身と酒蒸しも文句なし。

こんなにいい釣りができたのは久しぶりだ。城ヶ島、完全復活である。

 

ひと頃は、ハイシーズンになれば、3人で2週を空けずに磯に出かけていた。その後それぞれに生活環境が変わり、取り憑かれたかのような釣りまみれの日々がしばらくお預けになったのは仕方がない。今年は3回しか釣りに行けなかった。しかしまぁ大切なのは、今できることを大切に楽しむことなんだろう。「大切に」が被ったが、まぁそういうことだ。

来年は、春先のチヌの乗っ込みと、そのあと始まるボート釣りにはきっと出掛けよう。そして、5年越しの大目標になった夏の夜の怪物狩りだ。俺の背筋をギリギリと軋ませ、背鰭だけを見せて消えていったヤツの正体を、再び探しに出かけるのだ。

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海の神様、今年もありがとうございました。