マイぬか床誕生
ずーっとたくあんが嫌いだった。そもそも漬物全般にあまり興味がなかった。
ところがいつからか、白菜の浅漬けを食べるとこれ何だかおいしいねなんて思ったりして、漬物のうまさにだんだん気づき始めた。
今日は、有休なんてものを取ってみたので、ハードディスクに録画しておいたテレビ番組をなんとなく観ながらのんびりトーストを食べていた。
300年受け継がれてきたぬか床で漬けられたカブやニンジンを食べて、所さんが悶絶している。他の出演者たちも、口にした瞬間、目を剥いて喜んでいる。いったいどんな漬物なんだ。さらにマイぬか床をこよなく愛して名前をつけてキャンプにまで連れて行っちゃってる若い女性が紹介されるに至って、もう俄然やる気になった。
気がつけばヨーグルトや納豆(こいつも嫌いだったはずが!)など、発酵食品をかなりの勢いで食べるようになっていた。しかし、漬物までは全く気が回らなかった。そうであったか、漬物があったではないか。これこそ日本が誇る発酵食品のど真ん中ではないか!
これはもうおれだけのオリジナルマイぬか床を作るしかない。「ぬか床 作り方」で検索して最初に開いたサイトで必要なものをざっと確認して、早速JA直営のスーパーに行き、350g20円!の米ぬかを3袋買った。
米ぬかと塩だけかと思っていたら、旨味を出すために、煮干し(!)やら干し椎茸(!)やら実山椒も入れるとあったが、最初はなるべくシンプルにしようと思ったので、米ぬか、塩、鷹の爪、鰹節(!)昆布(!)を採用することにした。
早速漬ける気満々なので、セロリと人参も買う。しかし、帰ってサイトを改めてよく見たら、ぬか床で発酵が始まり漬物をつけられる準備ができるまで、少なくとも2週間はかかることがわかった。もう前のめりだっったので、ちょっと考えれば当たり前のことにまるで気付いていなかった。
そんな勢いのまま写メも撮らずどんどん進めてしまい、気づいた時にはもう捨て漬け野菜も埋め込み終わり、ぬか床(準備)完成である。
これから10日間は1日2回しっかりかき混ぜ、それから10〜20日間は1日1回になる。捨て漬け野菜は、4、5日たったら入れ替える。その際、1匹の乳酸菌も無駄にすまいとぬかをできる限り落とし、汁をギュッと絞ってぬか床に戻す。よーく手を洗わなきゃな。
ランチボックスに保冷剤を仕込んで昼休みのマイぬか漬けを楽しみに仕事に出かける日が待ち遠しい。
毎日おいしくなあれと念じながらかき混ぜるのだ。たぶんそのうち情が移る。そうしたら、名前をつけてあげよう。ネーミングのセンスは絶望的に欠けているので、霊感が降りてくるのを待つことにした。
ああ、何だかもやしもんが読みたくなってきたな。