行きつ戻りつ

走ったり、投げたり、時に釣ったり、何か作ったり、生きてりゃ行き当るとりとめなき事を

HAPPY BIRTHDAY!

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Baby,I'm just your mother and also your father!

なんという美しい光景であろうか…!と思うのは自分だけだということはよくわかっている。

うちの子が絶対に世界一かわいい!というのと同じことなんだろう。

本当はあと何日か熟成を待ってから漬けるはずだったが、もう待てない。スーパーでカブを買ってきた。そもそもどちらかといえばあまり興味のない野菜なので、カブを買うのは生まれて初めてだ。自分でもどうしてそうなったのか、そこのところはよくわからないのだが(思い出した!ぬか漬けを作ろう!と思い立ったテレビ番組で、所さんがカブのぬか漬けを食べて悶絶していたからだ)、最初に漬けるのはカブとニンジンだ、と決めていたのだ。

茎の部分を5センチほど残し本体を半分に切って、冷蔵庫にあった使いかけのニンジンをこれも半分に切って共に漬けた。カブの葉は、もちろん捨てずにおひたしにした。

15時間後の今朝、ぬか床から取り出しぬかにまみれたまま皿に並べた。誕生とか出産とかいう言葉が、起き抜けのまだはっきりしないアタマに浮かぶ。こんにちは赤ちゃんである。ただの生野菜が、新たな命を得て生まれ変わった瞬間である。

実際に出産を経験された女性の皆様、たったこれだけのことを、われわれ男には想像もつかない命がけの体験になぞらえてしまい、ほんとうに申し訳ございません。それでも、ぬか床から彼らを掘り出した瞬間、それがまさに天啓のように舞い降りてきたのだから仕方がない。

早速食べやすい大きさに切って、保冷剤までつけてランチバッグに入れ、カイシャに着くと真っ先に給湯室に向かい、カブのおひたしと共に冷蔵庫の最深部に置き昼飯を待った。

いつになく野菜だらけの昼飯である。あぁ、なんというやさしい味わいであろうか。離乳食を食べ始めたころから今日まで、武士の嗜み早飯となんやら、というような食事の作法で生きてきた。しかし今日ばかりは落ち着いてゆっくりとご飯をいただき、そのありがたさをかみしめたのである。

Amazonで検索するとわらわらと醗酵(発酵よりこっちの字の方がかっこいいので、これからはこの表記で行く)に関する書籍やムックが出てくる。思わず手あたり次第カートに入れそうになる。いやいや、ここはひとまず冷静になり、しばらくはこのぬか床と共に、ゆるゆるとじわじわと慌てず焦らず静かに醗酵してゆこうではないか。そう思った3/11の昼下がりである。